今回お話するのは、スマートフォンの経費計上のやり方です。

 

スマートフォンは減価償却する必要があります。

 

スマートフォンは、税法上は「携帯電話」という扱いになります。
「携帯電話」は、税法上は「電気通信施設利用権」という無形減価償却資産の扱いになり、減価償却費として経費計上しなくてはなりません。

 

耐用年数は20年と決められています。

無形減価償却資産ですので、定額法で減価償却します。

 

ですが、スマートフォンの端末代と契約事務手数料を含めた金額(取得価額)が10万円未満の場合は、消耗品費として一括経費計上出来ます。
というか、iPhoneなどのスマートフォンは、せいぜい2~3年で新機種に取り替えますので、減価償却したら殆ど経費になりません。
だから、消耗品費として一括経費計上しないと損します。

 

以下、順を追って説明していきます。

 

スマートフォンは電気通信施設利用権で無形減価償却資産

スマートフォンは、電気通信施設利用権という無形減価償却資産の扱いになります。
「減価償却資産」ですので、原則減価償却費として経費計上することになります。

電気通信施設利用権とは

電話に加入する権利、という意味で抑えておいてください。

 

正式には、「電話加入権(加入電話契約に基づき加入電話の提供を受ける権利をいう)及びこれに準ずる権利を除く全ての権利」です。
電気通信施設利用権の耐用年数は。20年です。
参考)国税庁のHP『No.5383 携帯電話等の加入費用の取扱

無形減価償却資産とは

無形減価償却資産とは、「形がなく、複数年に渡って使用するもの」です。

 

電気通信施設利用権は、「権利」ですので形がありません。
そして、スマートフォンを購入したら、普通は2~3年は使用しますね。
ですので、スマートフォンは「形がなく、複数年に渡って使用するもの」になるので、無形減価償却資産という扱いになります。

 

iPhoneなどのスマートフォンは、見ればiPhoneだとはっきり分かるので、形がありますよね。
だから、有形減価償却資産という扱いになりそうです。

 

しかし、スマートフォンは電気通信施設利用権という「権利」という扱いになり、無形減価償却資産とみなされます。
なんだか不思議ですが、そういうものとして抑えておいてください。

 

なお、無形減価償却資産は、定額法での計算しか認められていません。
定率法では計算出来ません。
参考)Wikipedia『減価償却

スマートフォンの取得価額とは

減価償却費を計算するときに、取得価額という金額を使用します。
取得価額とは、購入価格のことです。
スマートフォンの場合は、端末代と契約事務手数料を合わせた金額を、取得価額とします。

 

国税庁のHP『No.5383 携帯電話等の加入費用の取扱』には、以下のように記載されています。

携帯電話に加入する際には、加入者は契約事務手数料を支払うこととなりますが、この手数料は、原則として、無形減価償却資産である電気通信施設利用権の取得価額として資産計上し、耐用年数に応じて減価償却することとなります。

スマートフォンの減価償却費の計算方法

スマートフォンが減価償却資産であることが分かりましたら、早速減価償却費を計算してみましょう。

 

計算ポイントは、以下の2つだけです。

・スマートフォンの耐用年数は20年

・スマートフォンは電気通信施設利用権で無形減価償却資産なので、定額法で計算する。定率法での計算は認められていない。

この2つを抑えた上で、スマートフォンの減価償却費を計算してみましょう。

 

2017年1月現在で最も高価なスマートフォンである「iPhone7 Plus 5.5インチ ジェットブラック 256GB」を購入したとします。
端末代が116,424円です。
契約事務手数料が5,000円であったとします。
取得価額は、端末代と契約事務手数料を足して、121,424円ですね。
8月10日に購入したとします。
月半ばで購入した場合は、その月は1ヶ月使用したとみなされるので、今年度は5ヶ月間使用したことになります。
事業で使用する割合は80%だとします。

 

この場合、減価償却費は以下のように計算できます。

■減価償却費

スマートフォン

端末代 116,424円
契約事務手数料 5,000円
⇒取得価額 121,424円

耐用年数20年
8月10日に取得
事業割合 80%
定額法(スマートフォンは定額法でしか計算が認められていない)

減価償却費 = 取得価額 ÷ 耐用年数 × 使用月数 ÷ 12ヶ月 × 事業割合

(1年目)
減価償却費 = 121,424円 ÷ 20年 × 5 ÷ 12 × 80% = 2,024円(少数以下四捨五入)

(2年目)
減価償却費 = 121,424円 ÷ 20年 × 12 ÷ 12 × 80% = 4,857円(少数以下四捨五入)

(3年目)
減価償却費 = 121,424円 ÷ 20年 × 12 ÷ 12 × 80% = 4,857円(少数以下四捨五入)

・・・

(19年目)
減価償却費 = 121,424円 ÷ 20年 × 12 ÷ 12 × 80% = 4,857円(少数以下四捨五入)

(20年目 最終年)
減価償却費 = 121,424円 ÷ 20年 × 12 ÷ 12 × 80% = 4,857円(少数以下四捨五入)

 

スマートフォンを買うと損する!?

さて、スマートフォンの減価償却費を計算しました。

 

ところで、上記の計算例では、スマートフォンを20年使用したとみなして、減価償却費を計算しています。
スマートフォンを20年使用する人は、存在するでしょうか?
存在しませんね。
スマートフォンは、せいぜい長くても、2年程度しか使用しないのが普通ではないでしょうか?

 

では、スマホを2年使用した場合の減価償却費を計算してみましょう。

 

先ほどと同じく、「iPhone7 Plus 5.5インチ ジェットブラック 256GB」を購入した場合を例に取ります。
端末代が116,424円です。
契約事務手数料が5,000円であったとします。
取得価額は、端末代と契約事務手数料を足して、166,424円です。
8月10日に購入して、2年後の8月25日に端末を買い替えたとします。
事業で使用する割合は80%だとします。

 

減価償却費は、以下のように計算できます。

■減価償却費

スマートフォン

端末代 116,424円
契約事務手数料 5,000円
⇒取得価額 121,424円

耐用年数20年
8月10日に取得、2年後の8月25日に買い替え
事業割合 80%
定額法(スマートフォンは定額法でしか計算が認められていない)

減価償却費 = 取得価額 ÷ 耐用年数 × 使用月数 ÷ 12ヶ月 × 事業割合

(1年目)
減価償却費 = 121,424円 ÷ 20年 × 5 ÷ 12 × 80% = 2,024円(少数以下四捨五入)

(2年目)
減価償却費 = 121,424円 ÷ 20年 × 12 ÷ 12 × 80% = 4,857円(少数以下四捨五入)

(3年目)
減価償却費 = 121,424円 ÷ 20年 × 8 ÷ 12 × 80% = 3,238円(少数以下四捨五入)

減価償却累計額 = 2,024円 + 4,857円 + 3,238円 = 10,119円

スマートフォン購入時に、端末代と契約事務手数料を合わせて121,424円かかったのに、減価償却費として経費計上出来るのはたったの9,702円です。
これ、端末購入代は経費計上出来ないと言っているようなものです。

 

原因は、スマートフォンの耐用年数が20年だからです。
スマートフォンの耐用年数が20年なので、20分割して減価償却費を計算しなくてはならない。
しかし、スマートフォンなんて2年程度で買い替えてしまう。
だから、スマートフォンは殆ど経費にならない。
こんな理屈です。

 

なんとかスマートフォンの購入費用を、一括経費計上出来ないものでしょうか。
出来ます。

スマートフォンを一括経費計上する方法。ポイントは「10万円以下」

一括経費計上するには、スマートフォンの端末代と契約事務手数料を合わせて、10万円未満に抑えることです。
取得価額が10万円未満なら、消耗品費あるいは雑費として一括経費計上出来ます。

 

国税庁のHP『No.5383 携帯電話等の加入費用の取扱』には、以下のように記載されています。

電気通信施設利用権(スマートフォン)の耐用年数は20年ですが、法人税法では携帯電話の役務の提供を受ける権利の取得価額(端末代+契約事務手数料)が10万円未満である場合には、その権利を取得し、事業の用に供した事業年度において、損金経理(経費計上)を要件としてその取得価額の全額を損金の額に算入すること(一括経費計上)ができます。

以上から、スマートフォンの端末代と契約事務手数料を合わせて、10万円未満でしたら、消耗品費あるいは雑費として一括経費計上出来ます。

スマートフォンの減価償却費の計算は取得価額によって変わる

さて、スマートフォンを一括経費計上するには、取得価額を10万円以下に抑える必要がある、という事実を把握できましたでしょうか?

 

先程私は、スマートフォンの耐用年数が20年である事実を述べました。
耐用年数が20年なので、20分割して減価償却費を計算しなくてはなりません。

 

ですが、スマートフォンの取得価額によっては、耐用年数を20年とし、20分割して減価償却費を計算する必要がありません。

 

以下、取得価額に応じた、スマートフォンの減価償却費の計算方法を紹介します。

スマートフォンの取得価額が10万円以下

先程申し上げましたとおり、消耗品費または雑費として、一括経費計上出来ます。
取得価額とは、スマートフォンの端末代と契約事務手数料を合わせた金額です。

スマートフォンの取得価額が10万円以上20万円以下

二通りの方法で、減価償却費を計算できます。

①耐用年数20年で定額法で減価償却費を計算
⇒スマートフォンは電気通信施設利用権という無形減価償却資産ですので、定額法で減価償却費を計算します。定率法で減価償却費を計算することは認められていません。

②一括償却資産として、定額法で3年償却
国税庁HP『No.2100 減価償却のあらまし』に記載されています。
以下、記載されている文言をここに掲載します。

取得価額が10万円以上20万円未満減価償却資産については、一定の要件の下でその減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間の各年分において必要経費に算入することができます

この文言を見ますと、「減価償却資産」と幅広く言っています。
スマートフォンは『「無形」減価償却資産』なので、「減価償却資産」に該当します。
ゆえに、上記の内容に該当するので、取得価額が10万円以上20万円以下のスマートフォンは、一括償却資産として、定額法で3年償却できます。

 

「①耐用年数20年で定額法で減価償却費を計算」する方法は、先程申し上げました。
ここでは、「②一括償却資産として、定額法で3年償却」する計算方法について言及します。

 

「iPhone7 Plus 5.5インチ ジェットブラック 256GB」を購入した場合を例に取ります。
端末代が116,424円です。
契約事務手数料が5,000円であったとします。
取得価額は、端末代と契約事務手数料を足して、121,424円です。
取得価額10万円以上20万円未満なので、一括償却資産として、定額法で3年償却する方法を選択しました。
8月10日に購入したとします。
事業で使用する割合は80%だとします。

 

減価償却費は、以下のように計算できます。

■減価償却費

スマートフォン

端末代 116,424円
契約事務手数料 5,000円
⇒取得価額 121,424円

8月10日に取得
事業割合 80%

取得価額10万円以上20万円未満なので、一括償却資産として、定額法で3年償却する方法を選択

減価償却費 = 取得価額 ÷ 3年 × 使用月数 ÷ 12ヶ月 × 事業割合

(1年目)
減価償却費 = 121,424円 ÷ 3年 × 5 ÷ 12 × 80% = 13,492円(少数以下四捨五入)

(2年目)
減価償却費 = 121,424円 ÷ 3年 × 12 ÷ 12 × 80% = 32,380円(少数以下四捨五入)

(3年目)
減価償却費 = 121,424円 ÷ 3年 × 12 ÷ 12 × 80% = 32,380円(少数以下四捨五入)

スマホの購入費用が121,424円もしたのに、初年度はたったの13,492円しか減価償却費として経費計上出来ません。
翌年度も32,380円程度しか、減価償却費として経費計上出来ません。
あまり良くないですね。

 

消耗品費または雑費として一括経費計上出来たほうが良いと、私は思います。

スマートフォンの取得価額が20万円以上

こちらは、特例が用意されていません。
ですので、耐用年数20年で定額法で減価償却費を計算することになります。
計算方法は、先程申し上げました。
耐用年数20年として減価償却費を計算すると、ほとんど経費になりません。

 

しかし、スマートフォン1台で20万円を超えるものは、市販品では存在しませんね。
なので、このケースは考えなくても良いかと思います。

スマートフォンの取得価額が10万円以上30万円未満は少額減価償却資産制度が使える

青色申告で確定申告をされている方に関係する話です。

 

スマートフォンの取得価額が10万円以上になりますと、その年に取得価額を一括して経費計上出来ません。
しかし、青色申告の方は、スマートフォンの取得価額が10万円以上30万円未満の場合、少額減価償却資産制度を利用して、一括して経費計上出来る可能性があります。

 

以下に、少額減価償却資産制度の概要を示します。

少額減価償却資産制度の利用基準

以下の条件が必要です。

■少額減価償却資産制度の利用基準

・スマートフォンの取得価額が10万円以上30万円未満
・開業届を出して青色申告で確定申告していること
・その年度に購入した自動車などの減価償却資産の合計金額が300万円以下であること

国税庁HP『No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例』より

例えば、スマートフォンの取得価額が12万円で、購入した年は他に自動車などを購入しなかった場合、青色申告の方は少額減価償却資産制度を利用して、スマートフォンの取得価額を一括して経費計上出来ます。
ですが、スマートフォンを購入した年に、300万円の自動車を購入した場合は、少額減価償却資産制度を利用出来ません。

スマートフォンの取得価額を税込みで見るか税抜きで見るか

スマートフォンの取得価格に消費税を含めるかどうか、つまり、税込みとするのか、税抜きとするのかによって、取得価額が変わってきます。

 

例えば、アップルストアでiPhoneを購入して、レジで10万円支払ったとしましょう。
この場合、税込みで考えたら取得価額は10万円、税抜きで考えたら取得価額は92,592円となります。
税込みで考えた場合は、取得価額が10万円以上になりますので、減価償却費として経費計上しなくてはならず、今年度にスマートフォンの取得価額を一括経費計上出来ません。
これに対して、税抜きで考えた場合は、取得価額が10万円未満になりますので、今年度にスマートフォンの取得価額を一括経費計上出来ます。

 

今年度に、スマートフォンの取得価額を一括経費計上したい方は、税抜きでやったほうが良いでしょう。

 

2年前に売上が1,000万円あり、今年度は消費税の課税事業者である場合は、取得価額を税込みで考えるのか、税抜きで考えるのかを選べます。
原則課税制度が適用されている方も、簡易課税制度が適用されている方も、取得価額を税込みで考えるのか、税抜きで考えるのかを選べます。

 

ただし、税込みとした場合、消費税の計算の際に、租税公課を経費として計上しないと損するので注意してください。
詳しくは、『消費税は税込方式で計算するとき租税公課を経費計上しないと損する!』を御覧ください。

 

これに対して、今年度免税事業者であった場合は、スマートフォンの取得価額を強制的に税込みで見ることになります。

 

どんな方が消費税の課税事業者となるのか、免税事業者となるのかにつきましては『消費税の課税対象者となる人、原則課税と簡易課税のメリットを公開』を御覧ください。

実際に減価償却費を記入する(青色申告・白色申告)

減価償却費の計算方法は、ご理解いただけましたでしょうか?

 

計算が終わりましたら、実際に、確定申告書に記入していきましょう。

白色申告で減価償却費を記入

こちらの記事に、詳しい記入方法が書かれています。
白色申告の減価償却の詳細なやり方を公開!これだけ読めば大丈夫!!

青色申告で減価償却費を記入

こちらの記事に、詳しい記入方法が書かれています。
青色申告で減価償却する時の書類の記入方法を全て詳しく公開!!

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以上です。