消費税の課税事業者で、原則課税で消費税を納税されている方に関係する話です。

 

今年度は消費税の課税事業者であったが、来年度は消費税の免罪事業者になった方は要注意です。消費税の還付額が減る恐れがあります。
この場合、仮払消費税が減るからです。
仮払消費税から、期末商品棚卸高の仕入れにかかった金額の消費税が控除されてしまいます。

 

難しい話をしているかもしれませんが、順を追って説明していきますのでご安心ください。

 

まずは、消費税の課税事業者についてお話していきます。

消費税の課税事業者の対象者

今年度年間総売上が1,000万円を超えた方は、翌々年度の確定申告で消費税の課税事業者となり、消費税を納税する義務が発生します。

私は、平成25年度の年間総売上が2,100万円と1,000万円を超えていましたので、平成27年度の確定申告で消費税の課税事業者となり、消費税を納税しました。

 

消費税簡易課税制度選択届出書を提出したので、簡易課税方式で消費税を計算して、納税しました。

ただし、平成26年度は、年間総売上が5,000万円を超えていました。

ですので、平成28年度は簡易課税方式ではなく、原則課税方式で消費税を納税することになりました。

原則課税と簡易課税の違い

消費税の課税事業者となった場合、原則課税制度の適用を受けて納税するのか、簡易課税制度の適用を受けて納税するかを選択できます。

 

原則課税の場合は、消費税はざっくり言うと、以下のように計算されます。※後で正式な計算式を紹介します。

■原則課税方式

消費税 = 年間総売上×8% – 商品仕入れなどの必要経費×8%

消費税簡易課税制度選択届出書を提出して簡易課税制度の適用を受けた場合、簡易課税方式で消費税を計算します。
簡易課税の場合は、消費税はざっくり言うと、以下のように計算されます。

■簡易課税方式

粗利 = 年間総売上 – 年間総売上×80%(物販業の場合は粗利を20%で設定)
消費税 = 粗利×8%

詳しくは、『消費税の課税対象者となる人、原則課税と簡易課税のメリットを公開』を御覧ください。

消費税がマイナスだと還付金がもらえる。ただし原則課税の場合のみ

原則課税方式と簡易課税方式の違いについて、把握できましたでしょうか。

 

ところで、原則課税方式で消費税を計算すると、経費を多く計上できた場合、消費税がマイナスになりうることが分かりますでしょうか。
もう一度、原則課税の計算式を紹介します。

■原則課税方式

消費税 = 年間総売上×8% – 商品仕入れなどの必要経費×8%

「商品仕入れなどの必要経費」が、「年間総売上」を超えていた場合、消費税がマイナスになりえますね。
この場合、マイナス分の消費税が還付金として、我々に返還されます。

 

ただし、消費税が還付されるのは、原則課税の場合のみです。
簡易課税の場合は、消費税は還付されることはありません。
理由は、簡易課税方式で消費税を計算すると、消費税がマイナスになりうることがありえないからです。

 

もう一度、簡易課税方式の計算式を紹介します。

■簡易課税方式

粗利 = 年間総売上 – 年間総売上×80%(物販業の場合は粗利を20%で設定)
消費税 = 粗利×8%

簡易課税では、年間総売上だけを見て消費税を計算しています。
年間総売上がマイナスになるなんてこと、ありませんよね。
よって、簡易課税方式では消費税がマイナスにならないので、還付金がもらえません。

今期課税事業者で翌期免税事業者は期末商品棚卸高が仮払消費税から減額され還付金が減る

私は、今期(平成28年度)は課税事業者でした。
消費税簡易課税制度選択届出書を提出して簡易課税制度の適用を受けていましたが、平成26年度の年間総売上高が5,000万円を超えていたので、今期(平成28年度)は原則課税で消費税を納税することになりました。
また、平成27年度は年間総売上高が1,000万円を超えていなかったので、平成29年度は免税事業者でした。

 

まとめますと、今期(平成28年度)は課税事業者(原則課税)で、翌期(平成29年度)免税事業者だということです。

 

この場合、期末商品棚卸高が仮払消費税から減額され還付金が減ります。

 

仮払消費税という言葉について、詳しく説明していきます。

仮受消費税と仮払消費税の違い

原則課税方式で消費税を計算する場合、ざっくりとした計算式は以下の通りでしたね。

■原則課税方式

消費税 = 年間総売上×8% – 商品仕入れなどの必要経費×8%

消費税の概算を知りたい場合は、上記の計算式を使用して問題ありません。
しかし、消費税を一般的に正しく考える場合、以下の計算式で考えることになります。

■消費税の一般式

消費税 = 仮受消費税 – 仮払消費税

以下に、仮受消費税と仮払消費税の違いについて言及します。

仮受消費税

お客様から預かった消費税のことを言います。

 

この仮払消費税ですが、消費税課税事業者の場合、国に納めることになります。
仮受消費税とは、購入者から受け取った、つまり、購入者から預かった消費税ですので、国に返すことになります。

仮払消費税

我々が、国に支払った消費税のことを言います。

・今期課税事業者で翌期免税事業者は期末商品棚卸高が仮払消費税から減額される

もう一度、仮受消費税と仮払消費税で考えた、消費税の一般式を示します。

■消費税の一般式

消費税 = 仮受消費税 – 仮払消費税

上記の消費税の一般式を見れば明らかなのですが、仮受消費税(売上)が少なければ少ないほど、仮払消費税(経費)が多ければ多いほど、消費税の納税額は少なくなります。

 

しかし、残念ながら、今期課税事業者で翌期免税事業者の方は、期末商品棚卸高の消費税額が仮払消費税から減額されてしまいます。

 

例えば、今期発生した仮受消費税が10万円、仮払消費税が12万円であったとしましょう。
この場合、消費税は以下のように計算され、2万円の還付金を受けることが出来ます。

■消費税の一般式

消費税 = 仮受消費税 – 仮払消費税

消費税 = 10万円 – 12万円 = -2万円
⇒2万円の還付金を受けられる

ですが、もし今期課税事業者だったが翌期免税事業者で、今期の仕入れで売れ残った商品(期末商品棚卸高)の消費税額が3万円であった場合、消費税は以下のように計算され、1万円の消費税の納税義務が発生します。

■消費税

消費税 = 仮受消費税 – (仮払消費税 – 期末商品棚卸高の仮払消費税)

消費税 = 10万円 – (12万円 – 3万円) = 1万円
⇒1万円の納税義務が発生する

仮払消費税を、今期の仕入れで売れ残った商品(期末商品棚卸高)の消費税額で減額する形になっています。

 

以上紹介した知識が、国税庁のHP『No.6491 免税事業者が課税事業者となったとき』の内容になります。

なぜ期末商品棚卸高が仮払消費税から減額されるのか

まず、仮受消費税と仮払消費税で考えた、消費税の一般式を示します。

■消費税の一般式

消費税 = 仮受消費税 – 仮払消費税

今期課税事業者で翌期免税事業者であった場合、今期の仕入れで売れ残った商品(期末商品棚卸高)は、今期中にすべて売れたという前提が発生します。

 

今期中にすべて売れたということは、売上が発生したことになります。
つまり、仮受消費税が発生しています。
ですから、今期の仕入れで売れ残った商品(期末商品棚卸高)の消費税分の仮受消費税が発生したことになるので、その分が仮払消費税から差し引かれます。

 

よって、例えば、もし今期課税事業者だったが翌期免税事業者で、今期の仕入れで売れ残った商品(期末商品棚卸高)の消費税額が3万円であった場合、消費税は以下のように計算され、1万円の消費税の納税義務が発生します。

■消費税(今期課税事業者、翌期免税事業者)

消費税 = 仮受消費税 – (仮払消費税 – 期末商品棚卸高の仮払消費税)

消費税 = 10万円 – (12万円 – 3万円) = 1万円
⇒1万円の納税義務が発生する

今期の仕入れで売れ残った商品(期末商品棚卸高)の消費税額3万円を仮払消費税から控除すると言っていますが、仮受消費税が3万円多く発生していると見てもよいでしょう。

 

その場合の計算式は、以下の通りになります。

■消費税(今期課税事業者、翌期免税事業者)
消費税 = (仮受消費税 + 期末商品棚卸高の仮払消費税) – 仮払消費税

消費税 = (10万円 + 3万円) – 12万円 = 1万円
⇒1万円の納税義務が発生する

両方とも、意味も結果も同じですので、分かりやすい考え方を採用してもらって構いません。

 

繰り返しますが、これは原則課税方式で消費税を納税される方に関係する話です。
消費税の還付を受けられたり、今回のように免税事業者に転化して、今期の仕入れで売れ残った商品(期末商品棚卸高)の控除が出来なかったりなど、こうしたことは、原則課税の方にしか関係しません。
消費税簡易課税制度選択届出書を提出して簡易課税制度の適用を受けており、二年前の年間総売上が5,000万円を超えていない場合は、この話は関係ありません。

 

つまりは、簡易課税制度の適用を受けている方は、消費税の還付金も受けられませんし、今期の仕入れで売れ残った商品(期末商品棚卸高)の控除が出来ない、という話も関係してきません。

今期に1,000万円以上の仕入れをしたら免税事業者になれない

原則課税方式で消費税を納税される方の場合、大量仕入れを行って経費(仮払消費税)を増やして、消費税の還付を狙う方もいることでしょう。

 

ですが、1回あたりの仕入れで、1,000万円以上の仕入れを行っていた場合、翌年度に免税事業者になる予定の方は、残念ながら免税事業者になれません。

 

平成28年4月に、消費税法の一部が改正されたことにより、免税事業者となる前年度に「高額特定資産」を取得した場合、翌年度も課税事業者となり、消費税を納める義務が発生することになってしまいました。
この「高額特定資産」とは、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)が 1,000 万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産をいいます。

 

図解すると、以下のようになります。

 

以上の知識は、国税庁の以下のページに記載されています。
No.6502 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除等の特例
消費税法改正のお知らせ 平成28年4月 国税庁(平成28年11月改訂)

 

今期に1,000万円以上の仕入れをした場合、翌期は免税事業者とはなれず課税事業者となってしまいます。
つまり、今期に1,000万円以上の仕入れをした場合、その仕入額を仮払消費税として計上できますので、場合によっては消費税の還付金を受けられます。

 

しかし、課税事業者となってしまいますので、翌期と翌々期は消費税の納税義務が発生します。
要は、翌期と翌々期に消費税をしっかり納めさせることにより、実質的に消費税の還付を受けることは出来なくなる、という意味です。

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