プリンターの取得価額が10万円以上になることは、個人事業主ならまず無いので、普通は消耗品費として一括経費計上します。

プリンターの取得価額(購入価格)が10万円未満なら、消耗品費あるいは雑費として一括経費計上出来ます。

 

ですが、取得価額が10万円以上になるのなら、耐用年数に応じて減価償却費として経費計上しなくてはなりません。

 

以下、順を追って説明していきます。

 

プリンターは有形減価償却資産

有形減価償却資産とは、「形を認識できるもの、かつ、何年間も使用するもの」です。
有形「減価償却資産」という名の通り、減価償却費として何年間かに渡って分割して経費計上することになります。

 

プリンターは、一度購入したら、使用頻度にもよりますが、4~5年は使用するのが普通ではないでしょうか?
だから、プリンターは有形減価償却資産になります。
なので、原則は、購入した年度に購入価格を一括経費計上することは出来ない決まりになっています。

 

あくまで「原則は」

プリンターの取得価額が10万円未満なら一括経費計上出来る

ですが、プリンターの購入価格が10万円未満なら、消耗品費あるいは雑費として、一括経費計上出来ます。

 

国税庁のHP『No.2100 減価償却のあらまし』には、以下のように記載されています。

使用可能期間が1年未満のもの又は取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします。

よって、価格(取得価額)が10万円未満のプリンターは、消耗品費あるいは雑費として、一括経費計上出来ます。

プリンターの減価償却費を計算

減価償却費を計算する時は、耐用年数を調べる必要があります。

 

国税庁が公表している『主な減価償却資産の耐用年数(器具・備品)(その1)』を見れば、プリンターの耐用年数が分かります。

 

プリンターの耐用年数は、5年ですね。
耐用年数が分かったなら、プリンターの取得価額に応じて、減価償却費を計算していきます。

プリンターの取得価額が10万円以上20万円未満

原則は、耐用年数5年という情報を基に、定額法または定率法を用いて減価償却費を計算します。

 

しかし、プリンターの取得価額が10万円以上20万円未満の場合は、一括償却資産と扱って3年間で均等償却出来ます。

 

定額法・定率法での計算方法は、後述します。
ここでは、一括償却資産と扱った場合で減価償却費を計算してみます。

 

取得価額178,000円のプリンターを、9月10日に購入した場合で、減価償却費を計算してみましょう。
事業に使用する割合を80%とします。

■減価償却費

プリンター

取得価額 178,000円
9月10日に取得
事業割合 80%

一括償却資産⇒3年間で均等償却

減価償却費 = 取得価額 ÷ 3年 × 使用月数 ÷ 12ヶ月 × 事業割合

(1年目)
減価償却費 = 178,000円 ÷ 3年 × 4 ÷ 12 × 80% = 15,822(少数以下四捨五入)

(2年目)
減価償却費 = 178,000円 ÷ 3年 × 12 ÷ 12 × 80% = 47,467円(少数以下四捨五入)

(3年目)
減価償却費 = 178,000円 ÷ 3年 × 12 ÷ 12 × 80% = 47,467円(少数以下四捨五入)

 

プリンターの取得価額が20万円以上

先程調べたプリンターの耐用年数5年を用いて、定額法または定率法で減価償却費を計算します。

プリンターの減価償却費を定額法で計算

取得価額278,000円のプリンターを、9月10日に購入した場合で考えます。
事業に使用する割合を80%とします。

■減価償却費

プリンター

取得価額 278,000円
耐用年数5年
9月10日に取得
事業割合 80%

定額法

減価償却費 = 取得価額 ÷ 耐用年数 × 使用月数 ÷ 12ヶ月 × 事業割合

(1年目)
減価償却費 = 278,000円 ÷ 5年 × 4 ÷ 12 × 80% = 14,827円

(2年目)
減価償却費 = 278,000円 ÷ 5年 × 12 ÷ 12 × 80% = 44,480円

(3年目)
減価償却費 = 278,000円 ÷ 5年 × 12 ÷ 12 × 80% = 44,480円

(4年目)
減価償却費 = 278,000円 ÷ 5年 × 12 ÷ 12 × 80% = 44,480円

(5年目)
減価償却費 = 278,000円 ÷ 5年 × 12 ÷ 12 × 80% = 44,480円

プリンターの減価償却費を定率法で計算

定率法で計算する場合、まず、プリンターの耐用年数5年の情報を基に、償却率と改定償却率と保証率を、国税庁が公表している減価償却率表『減価償却資産の償却率表』から探します。

 

「減価償却資産の償却率表」を見ますと、プリンターの耐用年数は5年ですので、償却率は0.5000、改定償却率1.000、保証率0.06249になりますね。

 

償却率と改定償却率と保証率が分かりましたら、早速プリンターの減価償却費を定率法で計算してみましょう。

 

取得価額278,000円のプリンターを、9月10日に購入した場合で考えます。
事業に使用する割合を80%とします。

■減価償却費
プリンター
取得価額 278,000円
耐用年数5年
9月10日に取得
事業割合 80%

定率法

減価償却費 = 期首簿価 × 償却率 × 使用月数 ÷ 12

事業専用分 = 減価償却費 × 事業割合
→この金額を減価償却費として経費計上する

個人専用分 = 減価償却費 × (100% – 事業割合)

期末簿価 = 期首簿価 – 減価償却費
→期末簿価は、次期の期首簿価となる

償却率 = 0.5000
改定償却率 = 1.000
保証率 = 0.06249

償却保証額 = 取得価額 × 保証率
償却保証額 = 178,000円 × 0.06249 = 11,123円(少数以下四捨五入)

(1年目)
期首簿価 = 278,000円
減価償却費 = 278,000円 × 0.5000 × 4ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 46,333円

事業専用分 = 46,333円 × 80% = 37,067円
→この金額を減価償却費として経費計上する

個人専用分 = 46,333円 × 20% = 9,267円
償却累積額 = 46,333円
期末簿価 = 278,000円 – 46,333円 = 231,667円

(2年目)
期首簿価 = 231,667円
減価償却費 = 231,667円 × 0.5000 × 12ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 115,833円

事業専用分 = 115,833円 × 80% = 92,667円
→この金額を減価償却費として経費計上する

個人専用分 = 115,833円 × 20% = 23,167円
償却累積額 = 46,333円 + 115,833円 = 162,167円
期末簿価 = 231,667円 – 115,833円 = 115,833円

(3年目)
期首簿価 = 115,833円
減価償却費 = 115,833円 × 0.5000 × 12ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 57,917円

事業専用分 = 57,917円 × 80% = 46,333円
→この金額を減価償却費として経費計上する

個人専用分 = 57,917円 × 20% = 11,583円
償却累積額 = 162,167円 + 57,917円 = 220,083円
期末簿価 = 115,833円 – 57,917円 = 57,917円

(4年目)
期首簿価 = 57,917円
減価償却費 = 57,917円 × 0.5000 × 12ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 28,958円

事業専用分 = 28,958円 × 80% = 23,167円
→この金額を減価償却費として経費計上する

個人専用分 = 28,958円 × 20% = 5,792円
償却累積額 = 220,083円 + 28,958円 = 249,042円
期末簿価 = 57,917円 – 28,958円 = 28,959円

(5年目)
期首簿価 = 28,959円
減価償却費 = 28,959円 × 0.5000 × 12ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 14,479円

事業専用分 = 14,479円 × 80% = 11,583円
→この金額を減価償却費として経費計上する

個人専用分 = 14,479円 × 20% = 2,896円
償却累積額 = 249,042円 + 14,479円 = 263,521円
期末簿価 = 28,959円 – 14,479円 = 14,480円

※1年目に12ヶ月使用していないため、全額償却出来ない。

個人事業主は原則定額法で減価償却費を計算

個人事業主の場合、特別な手続きをしない限り、定額法で減価償却費を計算します。

 

もし、定率法で減価償却費を経費計上したい場合、『所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書』を税務署に提出する必要があります。

 

ただし、この届出書は、事業を始めた年の確定申告時に提出する書類になります。

 

提出期限は、今年度分の確定申告期限までです。

 

平成28年度の確定申告をするのでしたら、提出期限は平成29年3月15日までです。

 

詳しくは、国税庁HP『[手続名]所得税の棚卸資産の評価方法の届出手続』を御覧ください。

 

もし、既に確定申告を経験しており、その時にプリンターを減価償却費として経費計上した、つまり一度でも定額法を採用していた場合に定率法を採用したい場合、

所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の変更承認申請書』を税務署に提出する必要があります。

 

提出期限は、変更しようとする年の3月15日までです。

平成28年度の確定申告をするのでしたら、提出期限は平成29年3月15日までです。

 

例えば、本日(平成29年1月11日)提出した場合は、平成28年度分の確定申告は定額法で、平成29年度から定率法になります。

 

詳しくは、国税庁のページ『[手続名]所得税の減価償却資産の償却方法の変更承認申請手続』を御覧ください。

 

ただし、事業を始めてから3年間、確定申告を続け、定額法で減価償却費をしている場合のみ、定率法に変更可能であるという点に注意して下さい。

少額減価償却資産制度の適用対象者

以下の条件を満たす方に、少額減価償却資産制度が適用されます。

■少額減価償却資産制度の利用基準

・プリンターの取得価額が10万円以上30万円未満
・開業届を出して青色申告で確定申告していること
・その年度に購入した自動車などの減価償却資産の合計金額が300万円以下であること

国税庁HP『No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例』より

取得価額を税込みで見るか税抜きで見るか

プリンターの購入価格に消費税を含めるかどうか、つまり、税込みとするのか、税抜きとするのかによって、取得価額が変わってきます

 

例えば、ビックカメラでプリンターを購入して、レジで10万円支払ったとしましょう。
この場合、税込みで考えたら取得価額は10万円、税抜きで考えたら取得価額は92,592円となります。

 

税込みで考えた場合は、取得価額が10万円以上になりますので、減価償却費として経費計上しなくてはならず、今年度にプリンターの取得価額を一括経費計上出来ません

これに対して、税抜きで考えた場合は、取得価額が10万円未満になりますので、今年度にプリンターの取得価額を一括経費計上出来ます
今年度に、プリンターの取得価額を一括経費計上したい方は、税抜きでやったほうが良いでしょう。

 

2年前に売上が1,000万円あり、今年度は消費税の課税事業者である場合は、取得価額を税込みで考えるのか、税抜きで考えるのかを選べます。
原則課税制度が適用されている方も、簡易課税制度が適用されている方も、取得価額を税込みで考えるのか、税抜きで考えるのかを選べます。

 

ただし、税込みとした場合、消費税の計算の際に、租税公課を経費として計上しないと損するので注意してください。
詳しくは、『消費税は税込方式で計算するとき租税公課を経費計上しないと損する!』を御覧ください。

 

これに対して、今年度免税事業者であった場合は、プリンターの取得価額を強制的に税込みで見ることになります。

 

どんな方が消費税の課税事業者となるのか、免税事業者となるのかにつきましては『消費税の課税対象者となる人、原則課税と簡易課税のメリットを公開』を御覧ください。

インクカートリッジは消耗品費として一括経費計上

プリンターのインクカートリッジは、購入費用を消耗品費として一括経費計上出来ます。

 

消耗品費ではなく、雑費で経費計上してもよいでしょう。
私は雑費で経費計上しています。

 

ただし、事業割合で按分するのをお忘れなく。
消耗品費の計算では、月数按分はしません。

 

例えば、インクカートリッジを3,000円で購入して、事業割合が80%であった場合、消耗品費は以下のように計算できます。

■消耗品費

インクカートリッジ
取得価額 3,000円
事業割合 80%

消耗品費 = 3,000円 × 80% = 2,400円

実際に減価償却費を記入する(青色申告・白色申告)

減価償却費の計算方法は、ご理解いただけましたでしょうか?

 

計算が終わりましたら、実際に、確定申告書に記入していきましょう。

白色申告で減価償却費を記入

こちらの記事に、詳しい記入方法が書かれています。
白色申告の減価償却の詳細なやり方を公開!これだけ読めば大丈夫!!

青色申告で減価償却費を記入

こちらの記事に、詳しい記入方法が書かれています。
青色申告で減価償却する時の書類の記入方法を全て詳しく公開!!

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