車両運搬具を購入して、車庫を建てたとします。

 

車庫は有形減価償却資産であり、減価償却費として耐用年数で分割して経費計上しなくてはなりません。
車庫の耐用年数は、車庫の構成材料により異なります。
車庫は「建物」であり、1998年4月1日以後に建てたものは、定額法でしか減価償却費の計算が認められていません。

 

以下、順を追って説明していきます。

 

車庫は有形減価償却資産

車庫は減価償却資産ですので、複数年に渡って分割して経費計上します。勘定科目は減価償却費です。

 

車庫を建てたら、普通は何年間も使用しますよね。
そして、車庫は風雪にさらされて、段々と価値が下がっていきます。
このように、時の経過等によって価値が減っていくものを、減価償却資産といいます。

 

減価償却資産は、有形減価償却資産と無形減価償却資産に大別されます。
有形減価償却資産とは、「形があるもの、かつ、複数年に渡って使用するもの」です。

 

車庫は、見れば車庫だと認識できますよね。
そして、上述のとおり、車庫を建てたら何年間も使用するのが普通です。
よって、車庫は有形減価償却資産です。

 

有形減価償却資産の場合、定額法と定率法のいずれかの計算方法で、減価償却費を計算できますが、建物の場合は定額法しか認められていません。

車庫は税法上は「建物」

建物は、「建物」と「建物附属設備」に分類されます。

課税対象となる「建物」とは?

課税対象となる「建物」とは、「土地定着性」、「外気遮断性」、「用途性」を備えたものです。

 

土地定着性とは、その建物が基礎などで土地に定着して使用できる状態のことを言います。
外気遮断性とは、屋根があり、三方以上壁や建具などに囲まれている状態のことです。
用途性とは、居宅・作業所・貯蔵庫などの用途として利用できる状態であるということです。

 

例えば、以下のような画像のことを言います。

参考サイト)三重県鈴鹿市HP『課税対象になる家屋は

 

上記の画像を見れば明らかな通り、車庫は建物です。
建物の減価償却費を計算する場合、定額法のみ認められています。

 

国税庁HP『No.2100 減価償却のあらまし』には、以下のように記載されています。

なお、平成10年4月1日以後に取得した建物の償却方法は、旧定額法又は定額法のみとなります。

よって、建物は定額法のみ利用可能です。

課税対象となる「建物附属設備」とは?

建物付属設備とは、建物に付随していて建物と一体となっている物を言います。

 

車庫ですと、照明を設置したりします。
この照明は、建物付属設備という扱いになります。

 

建物付属設備は、減価償却費として経費計上します。
計算方法ですが、平成28年4月1日より前に取得した建物付属設備は、定額法または定率法のいずれかで計算します。
平成28年4月1日以降に取得した建物付属設備は、定額法しか認められていません。

 

詳しくは、日野上総合事務所さまの記事『建物付属設備・構築物の「定額法」一本化(平成28年度税制改正大綱)』を御覧ください。

車庫の耐用年数は多種多様

車庫の耐用年数は、車庫の構成材料により異なります。

 

車庫の耐用年数につきましては、国税庁HP『耐用年数(建物・建物附属設備)』に掲載されています。
しかし、この資料は非常に分かりにくく、車庫の耐用年数を見つけるのが大変です。
静岡県熱海市役所が公開している資料『減価償却資産の耐用年数表』は車庫の耐用年数が分かりやすく一覧されているので、これを基に、車庫の耐用年数を紹介していきます。

 

車庫の耐用年数は、車庫の構成材料により異なります。

 

・車庫の構成材料が木造モルタル造のもの 耐用年数15年

木造モルタル造とは、骨格が木材で、壁材にモルタルというセメント剤を貼り付けている構造物をいいます。

木造モルタル造の車庫の画像を例としてお見せします。

 

・車庫の構成材料が木造又は合成樹脂造のもの 耐用年数17年
車庫の骨格が木造である場合につきましては、上の画像でイメージが出来るでしょう。

合成樹脂造の場合ですが、屋根がアクリル板のカーポートが該当します。

 

・車庫の構成材料が金属造のもの(骨格材の肉厚が三ミリメートル以下のものに限る。) 耐用年数19年

 

・車庫の構成材料が金属造のもの(骨格材の肉厚が三ミリメートルを超え四ミリメートル以下のものに限る。) 耐用年数25年

 

・車庫の構成材料が金属造のもの(骨格材の肉厚が四ミリメートルを超えるものに限る。) 耐用年数31年

 

骨格材の肉厚の調べ方ですが、車庫の部材リストから分かります。
例えば、H鋼の図に「H-350*175*7*11」と記載されていたら、Hの横の部分の肉厚が7mm、縦の部分の肉厚が11mmということになります。

 

・車庫の構成材料がれんが造、石造又はブロック造のもの 耐用年数34年

 

・車庫の構成材料が鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造のもの 耐用年数38年
車庫の画像は充分出しましたので、ここでは鉄筋コンクリートの画像のみ紹介します。

 

以上、車庫の構成材料に応じた耐用年数を紹介しました。

 

頑丈そうなものほど、耐用年数が長いが、弱そうなものほど、耐用年数が短いということです。

車庫の取得価額とは

車庫の本体価格と建設費用などを合わせた金額が、車庫の取得価額になります。

車庫の取得価額を税込みで見るか税抜きで見るか

車庫の購入価格に消費税を含めるかどうか、つまり、税込みとするのか、税抜きとするのかによって、取得価額が変わってきます。

 

例えば、車庫を建設して、建設業者に10万円支払ったとしましょう。
この場合、税込みで考えたら取得価額は10万円、税抜きで考えたら取得価額は92,592円となります。

 

税込みで考えた場合は、取得価額が10万円以上になりますので、減価償却費として経費計上しなくてはならず、今年度に車庫の取得価額を一括経費計上出来ません。

 

ですが税抜きで考えた場合は、取得価額が10万円未満になりますので、今年度に車庫の取得価額を一括経費計上出来ます。
今年度に、車庫の取得価額を一括経費計上したい方は、税抜きでやったほうが良いでしょう。

 

2年前に売上が1,000万円あり、今年度は消費税の課税事業者である場合は、取得価額を税込みで考えるのか、税抜きで考えるのかを選べます。
原則課税制度が適用されている方も、簡易課税制度が適用されている方も、取得価額を税込みで考えるのか、税抜きで考えるのかを選べます。

 

ただし、税込みとした場合、消費税の計算の際に、租税公課を経費として計上しないと損するので注意してください。
詳しくは、『消費税は税込方式で計算するとき租税公課を経費計上しないと損する!』を御覧ください。

 

これに対して、今年度免税事業者であった場合は、車庫の取得価額を強制的に税込みで見ることになります。
どんな方が消費税の課税事業者となるのか、免税事業者となるのかにつきましては『消費税の課税対象者となる人、原則課税と簡易課税のメリットを公開』を御覧ください。

車庫の減価償却費を計算

原則は、定額法で減価償却費を計算します。
ですが、車庫の取得価額によっては、特例が用意されています。

車庫の取得価額が10万円未満⇒一括経費計上出来る!

車庫の取得価額が10万円未満の場合、消耗品費または雑費として一括経費計上出来ます。
国税庁HP『No.2100 減価償却のあらまし』には、以下のように記載されています。

使用可能期間が1年未満のもの又は取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします。

車庫の取得価額が10万円未満となることは、まず無いでしょう。

 

この記事で言う「車庫」とは、基礎などでガッチリ地面に固定された車庫のことを言います。
このような車庫の場合、基礎工事だけでも10万円を超えるはずです。

 

パイプ車庫でしたら、取得価額が10万円未満となるでしょうが。

車庫の取得価額が10万円以上20万円未満⇒一括償却資産になる!

車庫の取得価額が10万円以上20万円未満の場合、一括償却資産として、3年間で均等償却出来ます。
国税庁HP『No.2100 減価償却のあらまし』のページには、以下の文言が記載されています。

取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下でその減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間の各年分において必要経費に算入することができます。

しかし、車庫の取得価額を20万円未満で抑えることは難しいでしょうね。
建物として成り立つような「車庫」を建てたいのなら、やはり50万円以上は用意しなくてはなりません。

車庫の取得価額が20万円以上⇒耐用年数に応じて定額法で計算

車庫の取得価額が20万円以上の場合、定額法で減価償却費を計算します。
車庫は「建物」ですので、これから車庫を建設するなら、定率法で計算できません。

 

定額法で減価償却費を計算してみましょう。
以下の、車庫の構成材料が金属造のもので、骨格材の肉厚が三ミリメートル以下の車庫を購入して、設置費用を合わせた取得価額が148万円であったとします。
この車庫の耐用年数は19年ですね。
車庫に停める車は子供の送迎などでも使用するので、車庫本体の事業割合を80%とします。
5月18日に車庫の建設が完了したとします。

この場合、減価償却費は以下のように計算できます。

■減価償却費

車庫
建物
取得価額 1,480,000円(建設費用含む)
5月18日に取得
事業割合 80%
車庫の構成材料が金属造のもので、骨格材の肉厚が三ミリメートル以下のもの
耐用年数 19年

定額法

減価償却費 = 取得価額 ÷ 耐用年数(19年) × 使用月数 ÷ 12ヶ月 × 事業割合

(1年目)
減価償却費 = 1,480,000円 ÷ 19年 × 8ヶ月 ÷ 12ヶ月 × 80% = 41,544円(少数以下四捨五入)

(2年目)
減価償却費 = 1,480,000円 ÷ 19年 × 12ヶ月 ÷ 12ヶ月 × 80% = 62,316円(少数以下四捨五入)

(3年目)
減価償却費 = 1,480,000円 ÷ 19年 × 12ヶ月 ÷ 12ヶ月 × 80% = 62,316円(少数以下四捨五入)

・・・

(18年目)
減価償却費 = 1,480,000円 ÷ 19年 × 12ヶ月 ÷ 12ヶ月 × 80% = 62,316円(少数以下四捨五入)

(19年目)
減価償却費 = 1,480,000円 ÷ 19年 × 12ヶ月 ÷ 12ヶ月 × 80% = 62,316円(少数以下四捨五入)

車庫の取得価額10万円以上30万円未満

青色申告で確定申告をされている方に関係する話です。

 

車庫の取得価額が10万円以上30万円未満の場合、「中小企業者の少額資産の特例」が適用される可能性があります。
この「中小企業者の少額資産の特例」が適用されると、車庫の取得価額を、消耗品費として一括経費計上出来ます。

少額減価償却資産制度の適用対象者

以下の条件を満たす方に、少額減価償却資産制度が適用されます。

■少額減価償却資産制度の利用基準

・車庫の取得価額が10万円以上30万円未満
・開業届を出して青色申告で確定申告していること
・その年度に購入した自動車などの減価償却資産の合計金額が300万円以下であること

国税庁HP『No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例』より

といっても、車庫の取得価額を30万円未満にするとは思えませんが、こういう制度があるということは、一応抑えておいてください。

実際に減価償却費を記入する(青色申告・白色申告)

減価償却費の計算方法は、ご理解いただけましたでしょうか?

 

計算が終わりましたら、実際に、確定申告書に記入していきましょう。

白色申告で減価償却費を記入

こちらの記事に、詳しい記入方法が書かれています。
白色申告の減価償却の詳細なやり方を公開!これだけ読めば大丈夫!!

青色申告で減価償却費を記入

こちらの記事に、詳しい記入方法が書かれています。
青色申告で減価償却する時の書類の記入方法を全て詳しく公開!!

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