年間総売上が1,000万円を超えた場合、その年度から2年後の年度に、消費税課税事業者となります。

 

消費税課税事業者となった場合、原則課税制度を使って消費税を納税するか、簡易課税制度を使って消費税を納税するかを選べます。

 

今回お話するのは、簡易課税制度を使って消費税を納税する場合です。

 

簡易課税制度を使うと、売上高に対する粗利益率が高い人ほど、消費税の納税額を抑えることが出来ます。
ですが、簡易課税制度には、色々縛りがありますので、注意が必要です。

 

以下、説明していきます。

 

簡易課税制度とは

消費税は、ざっくりと言えば、以下のように計算されます。

消費税の計算式(ざっくりと)

消費税=(売上-経費)×8%

上記の計算式が、原則課税制度の消費税のざっくりとした計算式です。

 

それに対して、簡易課税制度での消費税の計算式は、ざっくりと言えば以下のようになります。

簡易課税制度の計算式(ざっくりと)

粗利=売上-売上×80%
消費税=粗利×8%

※第二種事業(小売業)の場合

なお、第二種事業(小売業)の場合の、原則課税制度と簡易課税制度の厳密な計算方法につきましては、『原則課税と簡易課税の厳密な計算法を初心者にも分かりやすく紹介!!』を御覧ください。

簡易課税制度のメリットは?

簡易課税制度のメリットは、粗利が大きい人ほど、消費税の納税額が少なくなる点です。

 

例えば、今年度の売上と経費が、以下のような方を例にとってみましょう。

<例:今年度の売上と経費>

売上:10,000,000円
経費:2,000,000円
※第二種事業(小売業)の場合

売上に対する粗利益率が80%もある方ですね。

 

上記の金額を基にして、まず、原則課税制度で消費税を計算してみます。

原則課税制度の計算例(ざっくりと)

消費税=(売上-経費)×8%
消費税=(10,000,000円-2,000,000円)×8%=640,000円

原則課税制度で消費税を計算した場合、消費税の納税額は、この場合64万円になります。

 

次に、簡易課税制度で消費税を計算してみます。

簡易課税制度の計算例(ざっくりと)

粗利=売上-売上×80%
消費税=粗利×8%

粗利=10,000,000円-10,000,000円×80%=2,000,000円
消費税=2,000,000円×8%=160,000円

簡易課税制度で消費税を計算した場合、消費税の納税額は、この場合16万円になります。
原則課税制度の場合、消費税の納税額は64万円です。
その差48万円。

 

何故、このような大きな差が出るのかというと、簡易課税制度の場合は、本当は売上に対する粗利益率が80%あるのに、それを20%とみなして計算しているからです(第二種事業(小売業)の場合)。

 

売上に対する粗利益率が20%を超えるなら、簡易課税制度を選択したほうが、消費税の納税額が安くなります。

簡易課税制度は消費税簡易課税制度選択届出書の提出が必要

このように、売上に対する粗利益率が高い方は、簡易課税制度を使ったほうが良いでしょう。

 

しかし、簡易課税制度を使うには、消費税簡易課税制度選択届出書を税務署に提出する必要があります。
消費税簡易課税制度選択届出書は、課税期間の開始の日の前日までに提出する必要があります。

 

図で表すと、以下のとおりになります。

 

上記の内容は、国税庁HP『No.6505 簡易課税制度』に、以下のように書かれています。

この制度の適用を受けるためには、納税地を所轄する税務署長に原則として適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することが必要です。

国税庁HP『No.6505 簡易課税制度』より

課税売上高が5,000万円より大きいと簡易課税制度は使えない

まず、年間総売上が1,000万円を超えた場合、2年後は消費税課税事業者となります。
消費税課税事業者となったら、原則課税制度で消費税を納税するか、簡易課税制度で消費税を納税するのかを、選択できます。

 

しかし、課税売上高(年間総売上)が5,000万円より大きい場合は、簡易課税制度は使えません。
消費税簡易課税制度選択届出書を、決められた日までに提出していてもです。

 

上記の内容は、国税庁HP『No.6505 簡易課税制度』に、以下のように書かれています。

なお、簡易課税制度選択届出書を提出している場合であっても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合には、その課税期間については、簡易課税制度は適用できませんのでご注意ください。

国税庁HP『No.6505 簡易課税制度』より

簡易課税制度を辞めるなら消費税簡易課税制度選択不適用届出書の提出が必要

簡易課税制度で消費税を納税するよりも、原則課税制度で消費税を納税したほうが、消費税を抑えられる方について。

 

もし、簡易課税制度選択届出書を提出してしまった場合、消費税簡易課税制度選択不適用届出書を提出することで、簡易課税制度を止めて、原則課税制度で納税することが出来るようになります。

消費税簡易課税制度選択不適用届出書の書き方

消費税簡易課税制度選択不適用届出書は、以下のような書類になります。

早速記入していきましょう。

①消費税簡易課税制度選択不適用届出書を提出する日付

下の枠に、消費税簡易課税制度選択不適用届出書を提出する日付を記入します。

 

②提出する税務署

あなたの住所の管轄の税務署名を書きます。
確定申告書を提出する税務署の税務署名のことです。
以下、記入例を示します。

 

③納税地(あなたの住所)

以下の枠に、あなたの住所を記入します。
個人事業主なら、自宅の住所になるのでしょうか。
以下、記入例を示します。

 

④氏名または法人名

以下の枠に、個人事業主ならあなたの氏名、法人なら法人名を記入します。
以下、記入例を示します。

法人の方は、法人番号も記入してください。

 

⑤この届出の適用開始課税期間

簡易課税制度の適用を止めようとする課税期間を書きます。
例えば、平成25年度に年間総売上が1,000万円を超えており、平成27年度は課税事業者であった場合、平成27年1月1日~平成27年12月31日と書きます。
以下、記入例を示します。

 

⑥基準期間

例えば、平成25年度に年間総売上が1,000万円を超えており、平成27年度は課税事業者であった場合、平成25年1月1日~平成25年12月31日と書きます。
以下、記入例を示します。

 

⑦基準期間の課税売上高

例えば、平成25年度に年間総売上が1,500万円であった場合、15,000,000円と書きます。
以下、記入例を示します。

 

⑧簡易課税制度の適用開始日

例えば、平成24年度は課税事業者であり、簡易課税制度選択届出書を、平成23年12月に提出していた場合、平成24年1月1日と書きます。
以下、記入例を示します。

 

⑨事業を廃止した場合の廃止した日
記入不要です。

 

⑩参考事項
記入不要です。

 

⑪税理士署名捺印
税理士に委託して書いてもらった場合は、ここは税理士が記入してくれます。

 

以上で、消費税簡易課税制度選択不適用届出書の記入は終了です。

消費税簡易課税制度選択不適用届出書の提出期間

例えば、平成25年度に年間総売上が1,000万円を超えており、平成27年度は課税事業者であった場合、消費税簡易課税制度選択不適用届出書は、平成26年12月31日までに提出する必要があります。

 

上記の内容は、国税庁HP『No.6505 簡易課税制度』に、以下のように書かれています。

また、簡易課税制度の適用をとりやめて実額による仕入税額の控除を行う場合には、原則として、やめようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があり、とりやめる課税期間の初日から課税仕入れ関係の帳簿及び請求書などを保存することが必要です。

国税庁HP『No.6505 簡易課税制度』より

粗利が少ない方は原則課税制度の方が消費税が安くなる

簡易課税制度のメリットは、売上に対する粗利益率が大きい人の場合、消費税の納税額が、原則課税制度よりも、遥かに抑えることが出来ることです。

 

ですが、例えば、売上に対する粗利益率が1割程度と少ない場合、簡易課税制度を使うと、消費税の納税額が原則課税制度よりも多くなります。

 

例えば、今年度の売上と経費が、以下のような方を例にとってみましょう。

<例:今年度の売上と経費>

売上:10,000,000円
経費:9,000,000円
※第二種事業(小売業)の場合

売上に対する粗利益率が10%です。
上記の金額を基にして、まず、原則課税制度で消費税を計算してみます。

原則課税制度の計算例(ざっくりと)

消費税=(売上-経費)×8%
消費税=(10,000,000円-9,000,000円)×8%=80,000円

原則課税制度で消費税を計算した場合、消費税の納税額は、この場合8万円になります。
次に、簡易課税制度で消費税を計算してみます。

簡易課税制度の計算例(ざっくりと)

粗利=売上-売上×80%
消費税=粗利×8%

粗利=10,000,000円-10,000,000円×80%=2,000,000円
消費税=2,000,000円×8%=160,000円

簡易課税制度で消費税を計算した場合、消費税の納税額は、この場合16万円になります。
原則課税制度の場合、消費税の納税額は8万円です。

 

売上に対する粗利益率が10%の方の場合、原則課税制度を使ったほうが、消費税の納税額が少なくなることが分かりますね。
こういう方の場合、原則課税制度で消費税を納税したほうが良いでしょう。

消費税簡易課税制度選択届出書には2年縛りの制約がある

一度、消費税簡易課税制度選択届出書を提出すると、2年間は簡易課税制度で納税しなくてはなりません。
もしこの期間に、売上に対する粗利益率が10%以下と薄利であったとしても、原則課税制度は使えません。

 

売上に対する粗利益率を高く維持できる自信がないのでしたら、簡易課税制度を使うのは止めたほうが良いでしょう。

上記の内容は、国税庁HP『No.6505 簡易課税制度』に、以下のように書かれています。

この「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した事業者は、原則として、2年間は実額計算による仕入税額の控除に変更することはできません。

国税庁HP『No.6505 簡易課税制度』より

まとめ:消費税簡易課税制度選択届出書の制約

・簡易課税制度では売上をベースに消費税を計算する

・売上に対する粗利益率が高い方は、簡易課税制度を利用すると消費税の納税額を低く抑えられるメリットがある

・簡易課税制度の適用を受けるには、簡易課税制度選択届出書を課税事業者となる前年の12月31日までに提出する必要がある

・ただし、年間総売上が5,000万円を超えていた場合は、2年後は、簡易課税制度選択届出書を提出していても、原則課税制度で納税することになる

・簡易課税制度の適用を辞める場合は、消費税簡易課税制度選択不適用届出書を課税事業者となる前年の12月31日までに提出する必要がある

・簡易課税制度選択届出書を提出したら、2年間は簡易課税制度で納税する必要がある。売上に対する粗利益率が10%以下の方は、消費税の納税額が高くつくので要注意。

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